サンゴ生息域は、「海中の熱帯雨林」

 サンゴ生息域は、「海中の熱帯雨林」とよばれるほど豊かな「生物の多様性」を持っており、海洋環境に重要な役割を果たしています。近年わが国におけるサンゴ群集は、白化現象、サンゴを食するオニヒトデや巻貝の大量発生、人の諸活動による水質・底質の悪化など様々な危機にさらされています。

和歌山県沿岸に生息するサンゴ群集も例外ではありません。・・・(続きを読む)

 当NPOでは、和歌山県田辺湾の沖島周辺のサンゴ群集や白浜町沿岸域及び四双島や円月島、権現崎のサンゴ群集に注目してきました。

 これら海域には、サンゴが高い密度で広範囲に生息し、地元漁師さんや一部のダイバーにしか知られていません。また、未調査のサンゴ群も数多く存在する海域です。

 この地域のサンゴ群集を、

①調査し科学的なデータを蓄積する

②モニタリングによりその変化を捉え保全に繋げる

③教育の場として体験学習や実習を通し、サンゴの大切さや環境保全などへの理解を深める

事業として活動しています。

 

 


サンゴ群集モニタリング調査員募集

当NPOでは、和歌山県田辺湾の沖島周辺のサンゴ群集や白浜町沿岸域及び四双島や円月島、権現崎のサンゴ群集に注目してきました。
これら海域には、サンゴが高い密度で広範囲に生息し、地元漁師さんや一部のダイバーにしか知られていません。また、未調査のサンゴ群も数多く存在する海域です。
この地域のサンゴ群集を、
①調査し科学的なデータを蓄積する
②モニタリングによりその変化を捉え保全に繋げる
③教育の場として体験学習や実習を通し、サンゴの大切さや環境保全などへの理解を深める
事業として活動しています。

 


令和5年度の公示調査

令和5年度の公示調査

(1) 水温状況調査 
・7/3~7、9/19~22、1/9~12 田辺湾および白浜海域

(2) 重点海域状況調査
・9/19~22田辺湾および白浜海域

(3) サンゴ再生状況調査
・9/25~29 田辺湾および白浜海域

令和3年度の公示調査は修了しました。ご協力ありがとうございました。

令和3年度の公示調査は、 ・・・(続きを読む)

 

(1) 被害状況調査(サンゴ再生) 
・6/20白浜 ・6/18田辺 ・6/19田辺

(2) 深海域(個別種)調査
・6/18田辺 ・6/19田辺

(3) 重点海域調査
①10/2田辺(沖島西) 
②10/2田辺(沖島北)
③10/3白浜(四双島) 
④10/3白浜(円月島)

(4) 水温計測
・6/14田辺 ・6/15白浜 ・9/27~29白浜、田辺 ・2/1田辺 ・2/2白浜

(5) 詳細調査
・9/27~30田辺・白浜

 

※上記調査には参加条件(例えば潜水士免許・調査経験など)あります。詳しくは「お問い合わせフォーム」よりお問合せ下さい。

基本スケジュール

8:00集合 現地ダイビングサービス(田辺市内・白浜町内)

8:15~調査担当確認
9:00~準備、ボート乗船
9:30 出港
10:00 調査ダイブ
11:00 調査終了、ライン回収、データシート点検、GPS測定
11:30 港着
  昼食
13:30 出港
14:00 調査ダイブ
15:00 調査終了、ライン回収、データシート点検、GPS測定
15:30 港着~機材片付け
16:00 データ集計
17:00 修了

※海象等によりスケジュールは変動します。

 

準備するもの

・遊びのダイビングと同様の準備をして下さい。水着、着替え、器材等です。

・ダイビング器材のレンタル(有料)もございます。お申込み時にご要望下さい。

・調査器材は当会で準備致します。

参加資格と費用

★令和5年度は、調査経験者のみとし、未経験者は参加できません。ご了承下さい。

1.調査未経験者は、

 ・・・(続きを読む)

(1)レクチャー受講(調査未経験者のみ)
・レクチャーは30分程度実施します。 
・魚類や海洋生物の図鑑等持っている方は持参下さい。 

(2)プレ調査ダイブ(予行演習)への参加 (調査未経験者は必ず参加下さい)
・プレ調査ダイブは、サンゴ群集に実際に潜り、調査の予行演習と実習を実施致します。
・同日に(1)項のレクチャーも実施致します。 

☆プレ調査ダイブ参加費用: 15,000円(税込)
・13:00現地集合(白浜) →レクチャー(予行演習) 
→13:30プレ調査ダイブ(予行実習) →16:30修了解散 
※日程は3名様参加より調整致します。 
 

 

2.ダイビング経験(下記事項に全てに該当する方)
・潜水士資格保有者 ・アドバンスCカード以上の保持者 ・30ボートダイブ以上の経験 ・健康な方 ・オウンリスクで参加できる方 ※自分で潜れない方は参加できません。

3.調査一般参加費用:15,000円(税込み:1日間で2ボート調査ダイブ)
・費用に含むもの(乗船料2回、タンク2本、調査道具1式)
・費用に含まれないもの(上記以の個人的な経費で飲食代、交通費、宿泊費、器材等)

※参加申し込みは「お問い合わせフォーム」から送信下さい。

 


経緯

 高緯度のサンゴ群集として名だたる和歌山県串本町沿岸(ラムサール条約登録地)や、沖縄のサンゴ礁では、環境省事業等による様々な保全活動の取り組みがなされてきましたが、和歌山県沿岸域のうち串本を除く高緯度(例えば、白浜・田辺・みなべなど)に生息するサンゴ群集に関して何ら取り組みがなされていません。

 当会では、『沖ノ島』・・・(続きを読む)

 当会では、『沖ノ島』(和歌山県田辺市・みなべ町・白浜の沖約3kmに位置)、及び、『四双島(シソウジマ)』(和歌山県白浜町の沖約1kmに位置)に生息するサンゴ群集は串本に匹敵することに注目してきました。 この『沖ノ島』、『四双島』とその周辺海域は、サンゴが密集して生息しており、イセエビや温帯系の魚種も多く、さらにサンゴ群集を餌場や住居とする熱帯系の魚も多く生息し、ダイバーやスノーケラー、海水浴客、釣り客などマリンレジャーを楽しむ重要な海域となっています。 

 ここでも、他のサンゴ海域同様、サンゴを食する巻貝やオニヒトデの発生などの問題を抱えています。 しかしながら、サンゴ群集の分布や被害実態の把握はされておらず、サンゴ群集の基礎調査、被害調査、オニヒトデやサンゴを食する巻貝の駆除対策など具体的、効果的な対策が急務と考えます。

 2006年頃より白浜『四双島』とその周辺海域にオニヒトデが目撃されるようになり、2008年に入って異常発生とも考えられる数のオニヒトデが確認されました。

 白浜町は温泉地として有名であり、国内でも有数のマリンレジャーの拠点となっており、2007年の総観光客数は3336千人、その内マリンレジャーを目的に訪れる観光客は704千人にも及びます。これだけ多くの観光客が利用し楽しむサンゴ群集に対してなんら対策を講じずこのまま放置しておくと、長い年月をかけて育ったサンゴ群集を短期間で失う可能性があります。

 当会は2009年6月より本格的に『四双島』におけるオニヒトデの食害状況を調査開始しました。その結果、『四双島』周辺のサンゴ群集はオニヒトデの異常発生が確認され、このまま何も対策を講じず放置しておくと2~3年後には全滅に近く激減すると推測しました。さらに『四双島』より北3kmに位置する『沖ノ島』においても同様のオニヒトデによる食害増加の傾向が見受けられ、過去の事例・経験から推測するに、数年後には現在の『四双島』と同様な状況になる可能性があると危惧します。

 これら高緯度のサンゴ群集は、和歌山県の重要な資源であり、人類共通の財産である「生物の多様性」の際たるものであることを認識し、これらがもたらす恵沢を将来にわたり享受できるよう次の世代に引き継いでいくことが、我々国民に託された重要な課題であり責務と考えます。

 2009年4月より20ヶ月間の保全により『四双島』最重要区域のオニヒトデは、最盛期の1ヘクタール531個から、その6分の1である87個まで減少し生息数調整(駆除)の効果は確認できたましたが、その後も生息域を広げています。

 今後も注意深くサンゴ群の調査を実施し保全活動を継続する必要があると考えます。

 

サンゴ群集の価値とは?

・海中の熱帯雨林と称され生物多様性が高い

・魚や水中生物の住み家・エサを提供する

・海洋生物25%、魚類33%がサンゴ礁に関って生きている

サンゴ礁は全世界の海底総面積の・・・(続きを読む)

・サンゴ礁は全世界の海底総面積の0.1%、海洋生物への影響が大きい

・観光資源(サンゴ礁の海)として、全世界の働き口の10%を支えている

・サンゴ礁は海岸線の防波堤を担っている

・医学的に有効な化学物質を産出する可能性が高い
  藻類→ガン治療薬、 イモ貝類→鎮痛剤
  新薬発見の可能性→陸上生態系の400倍

・海水中へのCO2取り込みは38兆トン(大気中CO2の52倍)

・サンゴ褐虫藻→光合成(CO2取込)→サンゴ骨格(石灰化)
海中生態系バランスが崩れると海中へのCO2取り込みに異変が起こる可能性がある

 

和歌山県「田辺・白浜・みなべ」沿岸域の
サンゴ群集の特徴とは?

・世界の最北限のサンゴ群集と言われる串本(ラムサール条約登録)より、さらに北西50kmに位置している

・サンゴは高い密度で広範囲に生息し、サンゴの種類も多い

・未だ未調査のサンゴ群集が数多く存在する

・地域の漁師さんや一部のダイバーにしか知られていない

被度別サンゴ群集面積(県別本土海域)

被度別サンゴ群集面積(県別本土海域)
 1994年データ↓ 100%~75% 75%~50%
 静岡県 0.5 0
 高知県 11.9 12.1
 愛媛県 062.2 
 大分県 051.5 
 宮崎県 0 14.6
 鹿児島県 0 2.5
和歌山県  16.840.1 
沖ノ島サンゴ群集3
 四双島サンゴ群集 0
第4回自然環境保全基礎調査(1994年3月環境庁発表)より引用 単位:ha

※沖ノ島サンゴ群集:2004~05年当会の調査で初めて明らかになった(面積+2010年暫定調査補正、未だ未調査域多く残る)

※四双島サンゴ群集:2010年当会の暫定的な調査で初めて明らかになった面積

※沖ノ島及び四双島サンゴ群集は、第4回自然環境保全基礎調査(1994年3月環境庁発表)では調査されていない 

和歌山県市町村別サンゴ平均被度

 サンゴ被度%
 みなべ  7.4
 田辺 26.0
 白浜 3.9
 すさみ 0.6
 串本 25.4

平成22年度和歌山県サンゴ分布状況調査報告書2010年12月串本海中公園センターより引用

※田辺には沖ノ島の大サンゴ群集が含まれている

和歌山県サンゴ群集の評価(抜粋)

  田辺
沖ノ島
 白浜
四双島
 串本
双島
 総合評価
 陸上景観
 海中景観
サンゴ類 
 無脊椎動物
海藻類 
魚類
6項目平均点2.72.52.8
重要な特性 

平成22年度和歌山県サンゴ分布状況調査報告書2010年12月串本海中公園センターより引用

 △: あまり優れていない、もしくはあまり重要でない  1点
 ○: やや優れている、もしくはやや重要  2点
 ◎: 特に優れている、もしくは特に重要  3点

なぜ、今、サンゴ群集の保全が必要なのか?

□全世界では、(科学者は警鐘を鳴らす)
・サンゴ礁の半分が重大な危機 →今後40年で消滅の可能性
・今後25年以内 →世界のサンゴ礁の半分以上はなくなる可能性

□沖縄では、
・1998年:海水温上昇(30℃以上)よりサンゴの白化
   →本島壊滅状態 →オニヒトデ大発生・巻貝食害 
・06年ホワイトシンドローム →07年サンゴの白化 →08年オニヒトデ歴史的大発生
現在まで、海水温上昇による白化、オニヒトデ異常発生が繰り返えされている

□和歌山県「串本」では、
・98年巻貝食害よりサンゴ壊滅の危惧 →駆除活動→継続中 
・04年秋オニヒトデ大発生→駆除活動効果あり→今でも駆除継続中

□和歌山県「田辺・白浜・みなべ」では、
・08年白浜四双島にオニヒトデ大発生
  →09~11年当会の駆除活動によりある程度沈静化(効果あり)




令和元年度調査結果報告

目次

令和元年度 里地・里山環境保全推進事業報告書

―――目次―――

Ⅰ.業務の内容 …………………………………………………………… 1

Ⅱ.業務対象地域 ………………………………………………………… 1

Ⅲ.業務結果 ……………………………………………………………… 1

1.生物多様性の保全活動 ……………………………………………… 1

1.1.被害状況調査 ………………………………………………………… 1

(1).被害状況調査結果 …………………………………………………… 2

ア).サンゴ底質等 ………………………………………………………… 2

イ).生物多様性(魚類) ………………………………………………… 3

ウ).生物多様性(無脊椎動物類) ……………………………………… 4

(2).被害状況調査データ集約 …………………………………………… 4

(3).調査方法 ……………………………………………………………… 4

(4).調査対象種 …………………………………………………………… 5

(5).被害状況調査の日程・場所・人員 ………………………………… 5

1.2.重点海域調査 ………………………………………………………… 10

(1).重点海域調査結果 …………………………………………………… 10

ア).サンゴ底質等 ………………………………………………………… 10

イ).生物多様性(魚類) ………………………………………………… 11

ウ).生物多様性(無脊椎動物類) ……………………………………… 12

(2).重点海域調査データ集約 …………………………………………… 12

(3).調査方法 ……………………………………………………………… 13

(4).調査対象種 …………………………………………………………… 13

(5).重点海域調査の日程・場所・人員 ………………………………… 13

1.3.考察Ⅰ(サンゴ群集海域調査) …………………………………… 16

(1).世界北限域の高被度・広域サンゴ群集 …………………………… 16

(2).低水温の長期化によりミドリイシ属サンゴ消滅 ………………… 16

(3).低水温ショックの要因は大寒波と黒潮大蛇行 …………………… 17

(4).サンゴ生息状況の遷移 ……………………………………………… 18

(5).2019年サンゴ回復の兆しはみえない ………………………… 19

(6).サンゴ捕食生物等の遷移 …………………………………………… 19

(7).今後の対策 …………………………………………………………… 20

1.4.深海域調査…………………………………………………………… 21

1.4.1.オオカワリギンチャク調査結果………………………………… 21

(1).ベルトトランセクト法による調査結果…………………………… 21

(2).ベルトトランセクト調査の写真…………………………………… 21

(3).コドラート法による調査結果……………………………………… 25

(4).コドラート調査の写真……………………………………………… 25

(5).調査方法……………………………………………………………… 27

(6).深海域調査の日程・場所・人員…………………………………… 28

1.4.2.考察Ⅱ(オオカワリギンチャク調査)………………………… 28

(1).モニタリング手法の改善…………………………………………… 28

(2).オオカワリギンチャクの減少……………………………………… 28

(3).石舞台のオオカワリギンチャク経年変化の状況写真…………… 29

(4).オオカワリギンチャク再生の兆し………………………………… 30

(5).今後の対策…………………………………………………………… 30

1.4.3.タコアシサンゴ調査結果………………………………………… 32

(1).写真撮影による調査結果…………………………………………… 32

(2).調査の写真…………………………………………………………… 32

(3).調査方法……………………………………………………………… 33

(4).深海域調査の日程・場所・人員…………………………………… 34

1.4.4.考察Ⅲ(タコアシサンゴ調査)………………………………… 34

(1).ウチウラタコアシサンゴの生態と規制 …………………………… 34

(2).ウチウラタコアシサンゴの写真 ………………………………… 35

(3).ウチウラタコアシサンゴ生息数の推測…………………………… 35

(4).今後の対策…………………………………………………………… 36

 ★本文は以下の添付ファイル参照
 
  →030_R1里保事業結果報告書_s012 _HP掲載版
 

Ⅳ.別添資料

・令和元年度里地・里山環境保全推進事業活動位置図 ………… 48-50

  → 100_R1活動位置図_s012

・令和元年度 被害状況調査の状況写真

1.田辺湾沖島周辺(南部出し)の被害状況調査 ……………… 51-52

  → 410_R1被害状況調査の状況写真<南部出し>_s012

2.田辺湾沖島周辺(南部出しアーチ)の被害状況調査 ……… 53-54

  → 420_R1被害状況調査の状況写真<南部出しアーチ>_s012

3.白浜町三段壁周辺(三段壁)の被害状況調査 ……………… 55-56

  → 430_R1被害状況調査の状況写真<三段壁>_s012

4.白浜町円月島周辺(色津・マッチ)の被害状況調査 ……… 57-58

  → 440_R1被害状況調査の状況写真<色津マッチ>_s012

・令和元年度 重点海域調査の状況写真

1.田辺湾沖島周辺(沖島西)の重点海域調査 ………………… 59-60

  → 450_R1重点海域調査の状況写真<沖島西>_s012

2.田辺湾沖島周辺(沖島北)の重点海域調査 ………………… 61-62

  → 460_R1重点海域調査の状況写真<沖島北>_s012

3.白浜町四双島周辺(四双島西)の重点海域調査 …………… 63-64

  → 470_R1重点海域調査の状況写真<四双島西>_s012

4.白浜町権現崎周辺(白良浜の沖)の重点海域調査 ………… 65-66

  → 480_R1重点海域調査の状況写真<権現崎>_s012

・令和元年度 深海域調査の状況写真

1.オオガワリギンチャク調査(コドラート法) ……………… 67-68

  → 510_R1深海域コドラート法調査の状況写真_s012

2.オオガワリギンチャク調査(ベルトトランセクト法) …… 69-70

  → 520_R1深海域ベルトトランセクト法調査の状況写真_s012

3.タコアシサンゴ試行調査 ……………………………………… 71-72

  → 530_R1深海域タコアシサンゴ調査の状況写真_s012

Ⅴ.補足資料

・オニヒトデ駆除マニュアル(抜粋版_説明用)

  → 610_R1里保オニヒトデ駆除マニュアル抜粋版_説明用

・レイシ貝類について(抜粋版_説明用)

 → 620_R1里保レイシ貝類ついて抜粋版_説明用_v013